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Posted by TI-DA at

2019年07月06日

アイドル歌謡とわたし

昨今、海外で日本の80年代のシティポップが人気という話をよく耳にします。
ラッパーのタイラーザクリエイターが山下達郎の「Fragile」を、ヴァンパイアウィークエンドが細野晴臣のレア音源をサンプリングしたりだとか、竹内まりやの「Plastic Love」がyoutubeで2000万回視聴されているとか、サブスクリプションが主流になった現代では、よい音楽は国境を超えて楽しまれているようですね。
また国内でも、サカナクションが新曲「忘れられないの」で80年代前半の歌謡曲の世界を現代によみがえらせたり、わたしたちアラフィフの人間が「ダサい」「恥ずかしい」と封印してきたあの時代の空気が再評価されていることは喜ばしいばかりです。
そこで、アタクシの黒歴史、「アイドル歌謡を追いかけていた少年時代」をちょっと記憶の引き出しの奥から引っ張り出してみようかと思います。キャー恥ずかしい!

わたしのアイドル遍歴は、人並みに聖子明菜おニャン子クラブと続いて行ったりはするのですが、なぜか最初の入り口な「武田久美子」なのでした。マッチの映画「ハイティーンブギ」の相手役やってましたね。なんで好きだったかは忘れましたがファンクラブも入ってました。シングル、アルバム共におこづかいで購入してましたが、そこまで聞き込んだ覚えもなく。興味も失って幾年月、気がついたらホタテの人に…
アイドル歌謡を音楽として聴き始めたのはやはり「薬師丸ひろ子」あたりじゃないかと思います。「来生たかお」「南佳孝」「大瀧詠一」の名前を覚えたのも薬師丸ひろ子だったような。とくに松本隆・南佳孝コンビによる「メインテーマ」の気だる感は中学男子にとって未知のオトナの世界でした。
それからというもの、アイドルの容姿うんぬんよりも楽曲に興味を持ち始め、シングル曲だけでなくアルバムも聴き込むようになります。
それではワタシが愛したアイドル歌謡の中でも選りすぐりの5曲を紹介いたします!

原田知世「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」
https://youtu.be/16_7N0RZ0YI
放映中の日テレのドラマ「あなたの番です」で主人公の妻を演じている知世ちゃん。新婚ホヤホヤながら実は裏に事情を抱えた、スポーツウェアのデザイナーという役柄を、昔と変わらぬ翳りのない透明感で見事に演じておりました。退場の仕方もショッキングでしたが(知世ちゃんの顔にハエが…!)、15歳年下の田中圭に一方的にベタ惚れされる、という設定に無理さを微塵も感じさせないのはさすがです。
そんな原田知世ちゃんがスターダムに登ったのは大林宣彦監督の映画「時をかける少女」。尾道の風景も美しい、青春SF映画の名作です。主題歌は松任谷由実の書き下ろしの同名曲。映画終了後のスタッフロールで、映画の名場面を振り返りながら主題歌を歌う知世ちゃんの姿が未だ脳裏に焼き付いています。
その後主演したミュージカル「あしながおじさん」の主題歌としてリリースされたのがこれまた松任谷由実提供の「ダンデライオン」。ユーミンの歌ってるバージョンも名曲として広く愛されていますが、いちおうこちらがオリジナル(リリースが一ヶ月早い)。知世ちゃんのサビの不安定な高音がたまりません。「ふるさとの両親がよこす手紙のような ぎこちないぬくもりほど泣きたくなる」の歌詞に、長崎から単身上京してきた知世ちゃん本人を重ねたりして。ユーミンの楽曲と知世ちゃんの相性はよく、「ずっとそばに」も隠れた名曲です。

安田成美「蝶をちぎった少女」
https://sp.nicovideo.jp/watch/nm12613080
言わずと知れた1984年公開の宮崎駿監督の大ヒット作「風の谷のナウシカ」。その映画のイメージガールとして、徳間書店の大々的なプッシュで歌手デビューした安田成美さん。しかし宮さんが気に入らなかったのか楽曲が映画のエンディングで使われないわ、ザ・ベストテンのスポットライトで歌を披露するも極度の緊張で音程を外しまくり伝説として語り継がれたり、なんだか散々だった成美さん。
でも音楽家の皆さんに愛されたようで、デビュー曲は松本隆細野晴臣コンビだし、ファーストアルバムのプロデュースは高橋幸宏!このアルバム、捨て曲なしの名盤だと思うのですが、特に「蝶をちぎった少女」はまるで鱗粉のようなキラキラしたサウンドとフラットなボーカルが美しく溶け合うテクノポップの佳曲です。またいちばん脂が乗ってた頃の売野雅勇の歌詞がまたいいんですよ!このアルバムでは「水のナイフ」(YMO好きならニヤリとするタイトル)もオススメ。再評価されてほしいなあ。

斉藤由貴「土曜日のタマネギ」



今や「魔性のオバサン」の称号をほしいままにしている斉藤由貴サンですが、デビュー当時は「青春という名のラーメン」のCMや「スケバン刑事」で披露したセーラー服の清楚なイメージだったんですよ!デビュー曲の「卒業」は松本隆・筒美京平による超名曲ですが、6枚目のシングル「土曜日のタマネギ」はコーラスと指パッチンのみのドゥーアップスタイルで、彼のためにポトフ作ったけど振られちゃったの、アタシ今夜いらないオンナになりました、と由貴サンが表情豊かに歌います。曲の雰囲気は山下達郎ミーツ荒井由実のチャイニーズスープ、みたいな様相。ちなみにB面は「ごめんね今まで黙っててほんとは彼がいたことを〜」という驚愕のカムアウトから始まる「AXIA〜かなしいことり」。すでに魔性の萌芽がここに…

南野陽子「風のマドリガル」



アイドル冬の時代に突入した80年代中盤に、CBSソニーが力を入れて売り出したのが南野陽子。デビュー曲「恥ずかしすぎて」以降は主演した「スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説(今見るとすごい破壊力のタイトル)」の主題歌だったからか、シリアスな暗い曲が続きました。中でも「風のマドリガル」は「さらばシベリア鉄道」を意識したと思われる、大陸を感じさせる壮大な曲です。単なる猿真似に終わらないのは、湯川れい子先生によるリリカルな歌詞と井上大輔のメロディー、萩田光雄の緻密なアレンジがすばらしいアンサンブルを奏でているから。ナンノの無表情な歌唱も悪くない。
また、少女趣味全開のアルバムも良作ばかりで、サードアルバム「ブルーム」収録の「シンデレラ城への長い道のり」という曲は、営団地下鉄東西線浦安駅からあえてシャトルバスに乗らずディズニーランドを目指して歩き出したものの思いのほか遠くて険悪な雰囲気になっちゃうカップルを描いた、今の若者には想像できないようなシチュエーションに80年代を感じます。

森高千里「NEW SEASON」


江口洋介夫人にして奇跡の50代と言われる森高千里。南沙織のカバー「17歳」や「渡良瀬橋」のヒットが有名ですが、デビュー当時はもうちょっとマニッシュなイメージでした。デビュー曲「NEW SEASON」では失恋と新たな旅立ちを切ないメロディーに乗って歌っています。「ファーストフードで朝食済まし」「テイクアウトの昨日飲み干し」といったフレーズが当時斬新でした(作詞はその後SPEEDをプロデュースする伊秩弘将)。この曲好きすぎてよく書店のバイト中に有線にリクエストの電話したなあ…ドラムを叩くモリタカの姿もカッコよかった!

さて、こうやって好きな曲並べてみると、いわゆる歌のウマイ人がいないことにびっくりしますね。それでも楽曲として完成度が高いのは、当時のプロデュースの綿密さだったり、演奏やアレンジの力だと思うのです。
奥深いアイドル歌謡の世界、皆さんも訪れてみてはいかがでしょう。
ちなみに上にあげたアーティストの楽曲は全てAppleMusicで聞くことが出来ますよ!サブスク万歳!  

Posted by ガリンペイロ at 04:28Comments(0)